「それに、お前夜の学校に侵入してるだろ?」

「えっ?!」

な、何で知ってるの?!

「言っておくが、夜の学校に侵入することは、禁止されている。お前は、夜の学校で何をしている?」

「そ、そんなこと、凛空には関係のないことでしょ!凛空に言ったところで何もならないよ」

昔から凛空はそうだ。

掟を絶対守って、駄目なことははっきり駄目という。

「俺に言えないことか?」

「うるさいよ!何も知らないくせに、私の中に入ってこようとしないで!」

「……」

「あっ……」

やばい、流石にこれは言いすぎた。

「そうか、それは悪かった。今のは忘れろ」

「えっと……」

凛空は、私を置いて先に行ってしまった。

その場の取り残された私は、ガクッと肩を下げた。

「ごめんなさいの一言も言えなくなったの、私は……」

お母様が亡くなって、私は毎日泣いていた。

そんな、私の傍に唯一居てくれたが凛空だった。

幼馴染といっても、一緒に遊ぶ機会なんてそんなになかった。

安倍の後継ぎってこともあって凛空は、毎日家に引きこもって、勉強ばかりしていた。

顔を合わすことはたまにあったけど、それでもやっぱり本ばかり読んでいた。

でも、凛空は勉強の時間を潰して、私が泣き止むまで傍に居てくれた。

きっと、さっきの質問だって、私を心配してのことだったと思うし、あの人相手だと、なかなか素直になれない部分が出てしまう。

「学校で会ったら、ちゃんと謝ろ」

心にそう決め、私は学校へと急いだ。