輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【空】

「眠くなってきたな……」

凛音は、風呂場に行ったきりなかなか戻って来ねぇし。

「さきに寝ちまうか」

先に寝ていた方が、何もしなくて済むだろうしな。

「空様!」

「ん?なんだ太陰」

すると、一枚の符が浮かび上がると、一人の少女が水晶玉を持って現れた。

「どうした?」

「はい!やっと見つかりました」

「なにが?」

「もう!また忘れたんですか?十二天将の最後の一人を探せって、私に言ったじゃないですか」

「あー、思い出した」

そぅ、俺は太陰に最後の十二天将になる妖を探すように頼んでいた。

大分前に頼んだことだったからすっかり忘れてた。

「んで、そいつはなんて言う?」

「妖の名前は“銀"。ここから離れたところに大きな湖があります。そこに、銀は住んでいます」

「よく見つけられたな」

「私も頑張ったんですよ。他の妖たちにも聞いて調べたんですから」

「そうか、ありがとな」

人間の子供みたいに小さな太陰だけど、妖たちの中でも顔は広い。

「でも空様、この妖を十二天将に入れるのは少し考えた方がいいと思います」

「何でだ?お前が見つけて来たやつだろ?」

「はい、でもこれはまだ候補に過ぎません。この妖の銀は、妖たちの大将と繋がっている噂があります」

「妖たちの大将だと?」

妖たちの大将というなら、俺の中で一人の妖しか浮かんでこない。