輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

このかんざしは、買ったその日に渡すつもりだった。

だけど、結局渡せなくて四年の月日が流れた。

俺は、親が勝手に決めた女と祝言をあげる。

そして、俺と凛音の関係は大きく変わる。

今みたいに、妖退治なんて一緒に行ける機会がなくなる。

俺は、後継ぎを作らないといけない。

俺の後を継ぐものを──

だけど、愛し合っていない者と祝言をあげて、俺はそれで本当にいいのか?

凛音にこの気持ちを伝えたら、あいつはどう思うだろうか?

でも、あいつが他の男を好きになるというなら俺はそれで構わない。

俺は、自分の気持ちより凛音の幸せを優先したい。

「そういえば、このかんざしを買った時に店にいた少年……」

顔も名前も覚えていないが、何故か記憶の奥底にぼんやりと残っている。

それに、強い力を感じたはずだった。

「何者だったんだ?」

俺と同じ力を感じて、どことなく雰囲気が俺に似てたきがする。

「気のせいではないよな?」

それとも、ただ俺に似ていただけだったのか。