輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「べ、別に寒くなんかない」

「嘘つくな、早く帰るぞ」

俺は凛音の手を握ったまま、番傘の中に凛音を入れ宿へと戻った。

そして、そのまま風呂場へと直行する。

「風呂に入って温まってこい」

「わ、分かった」

凛音を風呂場へと送り、俺は部屋に戻る。

「たく、あいつは……」

俺手のひらには、凛音の手を握った時の温もりがまだ残ってる。

「あいつは、ほんとに女としての自覚がなさすぎだ」

雨の中へと出ていったら服だって濡れて、体が透けて見えるんだぞ。

「調子狂うぜ、まったく……」

やっぱり、凛音と同じ部屋に泊まるのはまずかったか?

こんなの想定外だしなぁ。

(俺の気持ちが、溢れないように抑えないとな)

俺は、懐からある物を取り出す。

「結局渡せてないよな」

手の中にあるかんざしを見て、凛音の喜ぶ顔を想像する。

あいつが俺のことをなんとも思っていないのは知ってる。

だけど、俺はあいつが……。

好きだ──