輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「助けてください凛音さん!妖が現れました!」

「なんだと!」

あぁ、やっぱりか。

妖が現れたってなると、いくらこいつでも寝ていても起きるだろう。

案の定そうだったな。

「どこだ!妖は!」

「うわぁ!」

凛音は、持っていた着物の包を俺に渡すと、俺を押しのけ雨の中へと出ていく。

「どこだ!」

「おい凛音!ちょっと待て」

「これが待ってって、何で空がこんなところに居るんだ?」

「お前を迎えに来たんだよ、いつまで経っても帰ってこないから」

「そ、そうか……」

「それより、こっち戻れよ」

「え?」

「風邪引くぞ……」

勢いよく雨の中に飛び出すから、白い水干が土の色で汚れている。

「私が風邪を引くなんて有り得ない。一度も引いたことないんだぞ」

「だからといって、引かないとは限らないだろ」

俺は、布を取り出して凛音の頭に被せる。

「それに、ずっと外に居たから体も冷えてるだろ」

俺は、空いている手で凛音の手を握る。