輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

あいつは、凛を一睨みしただけで凛の力を抑え込んだ。

「なぁ、お前は知っているか?妖の夜ってやつを」

「夜?」

青龍は、数秒間考え込んでから、「知らないな」と答えた。

何百年も生きている青龍なら、何か知ってるかと思ったが、やっぱり他の十二天将たち同様知らないみたいだ。

「その夜って妖は、どんなやつだった?」

「姿は人間そっくりだったが、瞳の色は、夜に輝く満月のように輝いていた。それに、凛の力を抑え込んだ」

「凛の力を抑え込んだ?!普通の妖にそんなこと出来るはずがない」

「その通りだ。それに、あいつは自分をぬらりひょんの息子と言っていた」

「ぬらりひょんの息子……」

青龍は、夜の存在を知らないように見えるが、ぬらりひょんの息子って言葉に、何かを知っているかのように見えた。

「その夜とかいう妖の存在には気をつけろ」

「分かっているさ」

「それに、お前は自分の行動をもう少し考えろ、変な行動を起こしたら、凛の封印が解かれるかもしれないからな」

「それも分かってる、もう少し考えてから行動するよ」

今回の鬼女との戦いで、俺は凛が助かるなら、俺はどうなっても構わなかった。

だけど、その行動によって凛の身を危険に晒してしまった。

約束も破ろうとした。

俺から傍を離れないと言っときながら、傍を離れようとした。

凛を傷つけてしまった。

さっきの涙も、泣かせたのは俺だ。

俺は、凛の傍にいて笑顔を見続けられるだろうか?

もしかしたら、また傷つけてしまうかもしれない。

凛を失うかもしれない。

俺にとって、それは一番恐れていることだ。