「凛空の意地悪」

「もともとこういう性格だ」

離れた凛空は、立ち上がると私の部屋から出ていこうとする。

「もう帰るの?」

「あぁ、お前の様子を見に来ただけだから」

「そっか……」

ちょっとだけ寂しいな。

「なんだ?もしかして傍に居てほしいのか?」

「そ、そんなわけないでしょ!」

「だよな」

凛空の笑顔に、私は釘付けになる。

「後でまた来てやる」

「うん……」

凛空が部屋から出ていくのを見届け、私は再び横になる。

「これから、どうなるのかな……?」

私は、凛空に守られてばっかりで全然力になれていない。

この先、私のせいで凛空が命を落としてしまうことがあるかもしれない。

「もっと、強くなりたい……」

お母様は、どうやって強くなった?

お母様が生きていたら、いろんなことが聞けたのに。

私の中でお母様の記憶は、私に笑顔を見せてくれた時だけ。

そのせいで顔ははっきりと覚えていない。

唯一お母様の顔を見ることが出来るとするなら、それは写真だけ。

だけど、何故かお母様が写っている写真はごくわずか。

「なんで、写真ないのかな?」

後でお兄ちゃんに聞いてみよう。

私は、ベッドに横になり目を閉じた。

夢の中ででて来た男の人は、一体誰だったんだろう?