「凛空、怪我の方はいいの?」

「あぁ、大したことはない」

「雫夏先輩は大丈夫なの?」

気になっていたことを凛空に聞く。

「無事だ。幸いあいつは何も覚えていなかったよ」

「そっか、無事なら良かった。でも、名前を呼んであげないなんて酷いと思うけど?」

「あいつのことは、ずっと副会長って呼んできていたから、いきなり雫夏って呼びずらいんだよ」

「でも、好きな人に名前を呼んでもらえないなんて、雫夏先輩が可哀想だよ」

「はっ?あいつ俺のこと好きなのか?」

「えええ!」

もしかして、気づいてなかったの?!

「だからか」

「凛空って、意外と鈍感なんだね」

「お前に言われたくねぇよ」

「な、なんで?」

「自分で考えろ」

凛空は私の頬を軽くつまむと、私の額に手を当てる。

「な、なひすりゅの?!」

「いや、ただ熱があるかどうか確認しただけだ」

だからって、頬をつままなくてもいいのに!