ツタが絡まるあの廃屋は何年も前に人がいなくなった。 噂では殺人事件があったとか、自殺者が居たとか。 私は知っている。 近所に住んでいるからではない。 おそらくまだあの廃屋に居るだろう。 朽ちた肉体は床下に埋まっている。 家族三人だ。 捜索されず、訳ありなのだろう。 恨めしいのか、三人家族は私の後を着いてくる。 そして私を見つめる。 私は気付かない振りを続けている。