夏休みの勲章

「此処は無理だったけど、吾妻の爺さん家の方に行ってみるか。もうちょっとでカブトムシに会えるから、待っててな真吾くん。」


「うん、ありがとう。」


ガシガシと僕の頭を撫でたおじさんは、じゃり道をバックし始めた。


思いっきりのびた草が、トラックに当たってバチバチと音を立ててる。


じゃりをのりこえる度に、持ってきた虫かごが膝の上で小刻みに揺れた。


パパは窓の外を見つめて、口を閉じたままだった。