テント内から、リレーの待機列へと移動する時、足を怪我したというクラスメートに声をかけられた。
「安達、頼むな」
あまりにも自然な声掛けに、戸惑ってしまって、俺は曖昧に頷く。
すると、そのクラスメートは、とても爽やかに笑って拳を掲げた。
それに返すように、俺も拳を作ってテントを後にする。
列に並ぶと、ほかのクラスの奴らからも視線を感じて、居心地の悪さを感じた。
はぁ、と小さくため息をこぼすと、前にならぶ早柿が振り返る。
「もー、ため息やめてくれない?やる気出してくれないと困るのよ」
呆れたというような顔で文句を言う早柿に、俺はつい言い返す。
「こういうの慣れてねーんだよ。つか、なんでアンカー…お前変われよ」
先程の紙で、文句を言う訳にも言わず頷いたが、俺の名前は一番最後にあった。
「仕方ないじゃない、神原くんアンカーだったのよ、それに伊達に喧嘩してる訳じゃないでしょ?たまにはこういうことに運動神経使いなさい」
ニヤリと笑う早柿に、周りのどれだけの人間が震え上がったか。
それに気付いているのだろうか。
俺は少しだけ口角が上がるのを感じる。
「おもしれーじゃん」
「お、いいね、やる気出してこ」
そんな俺らの会話を、苺花は少し離れた場所から笑顔で聞いていた。



