ぼんやりと痛む頭に、疲れた体。
このまま寝てしまいたいなーと机に伏せて、窓の外を何気なく見る。
すると、人気のないグラウンドをだるそうに歩く男の子が目に入った。
「…安達くん…」
久しぶりにその名前を口に出したら、急に心臓がうるさく動き出した。
聞こえるはずのない、本当に本当に小さな独り言。
だったのに、
その声が聞こえたかのように、金髪の彼は顔を上げて、苺花がいる教室の窓を見上げた。
「…っ…」
目を逸らすことも、手を振ることも、声をかけることも出来ず、ただ1人、下唇を噛む。
安達くんは、すっと目を逸らして、校舎へと入っていった。
ねえ、安達くん。
最近、また喧嘩してるって噂、本当なの?
もう、午後の授業だよ。
前までは、授業にはたまにしか出なくても、学校には来てたよね。
午前中は何してるの?
あの、先輩と一緒にいるの?
…元気、なの?
最近、塞ぎがちだった苺花の心は突然のお喋りに耐えられず、
口から出ない代わりに、目から感情が溢れ出した。



