流されるままに、教室から出て、空き教室へ入ると、いおちゃんはため息をついた。


「ごめん、ここまでエスカレートすると思わなくて、様子見てたんだけど。」

「ううん、ごめんいおちゃん…ありがとう」


Tシャツを握りしめて、俯く苺花に、いおちゃんは言う。


「あのね、あの子たち色々言ってたけど、安達と付き合ってるって噂がね、一番の理由なの。

屋上に出入りしてるのも話題になってて、それが、あんまりよく思わない子がやっぱり多いのよ」


言葉を選ぶように言ういおちゃん。


前から、気をつけろと言われていて、苺花だってそれは分かっているつもりだった。

だけど、最近は、安達くんと居られる時間が嬉しくて、皆とも仲良くなってほしくて、隠そうなんて思わなくなっていたことに気付く。


だけど、もう、どうしたって納得がいかなくて、苺花は、怒りを押し殺すような声で、呟いた。