「…な「苺花のこれでしょ。ちゃんと用意してくれてありがとね」
その言葉を制したのはいおちゃんだった。
どこから聞いていたのか、さっきまで教室にいなかったいおちゃんが、教卓の上のダンボールから新品のTシャツを取り出し、微笑む。
「い、伊織ちゃん…」
いおちゃんの姿を見て、それまでの威勢をなくすように、気まずそうに顔を引きつらせる女の子たち。
その様子に、今までいおちゃんに守られていたことを察した苺花は、張り詰めていた糸が切れるように泣きそうになる。
「苺花、Tシャツ。着てみるでしょ?」
そう言って、教室から苺花を連れ出すいおちゃんは、泣きそうな苺花に気付いているようだった。



