「このデザイン、どうかな?」
そんな時、デザイン担当だった女の子が、いおちゃんに差し出したクラスTシャツのデザイン。
それがすっごく可愛くて、苺花は目を輝かせてその用紙をのぞき込む。
「えっ、これ考えたの!?すっごい素敵だね!!」
満面の笑みでそう伝えると、その女の子は、少しだけ後ずさって、にこりと貼り付けたような笑顔を見せた。
「…あ、ありがとう」
「…え…?」
その笑顔に、流石の苺花も戸惑う。
クラスもまた、どこか不穏な空気を漂わせ、周りからも、こちらを伺うような不気味な視線を感じた。
「うん、私も良いと思うよ、凄いね?」
良くも悪くも空気を取っ払う様な、
いつもより大きないおちゃんの声が響き、
その女の子は離れて行った。
妙な空気となった教室で、
苺花は、ひとり、考え込むように席に座り、机の上を見つめる。
「…苺花…?」
気を遣うようないおちゃんの声が聞こえ、
苺花は、ハッとして、にこりと微笑んだ。
「楽しみだね、体育祭」
「…そうだね」
なにかを飲み込んだようないおちゃんの言葉に、苺花は自分の心のもやもやも飲み込んで、笑顔で作業を続けた。



