結局、すぐに飽きてしまって、安達くんは1時間だけ授業に出て、次の休み時間に教室を出ていこうと立ち上がった。
後ろを通っていく安達くんに、苺花は振り返って声をかける。
「安達くん、もう戻るの?」
「…いいだろ、落ち着かねーんだよ」
言う通り、疲れた様子の安達くんに、苺花は頷いて、安達くんを見送った。
「またね」
「あぁ」
ひらひらと手を振って教室を出ていった安達くん。
その様子を見ていたクラスメートは、ざわざわと話し始めた。
「苺花、もしかして安達と…」
場所を選んでか、言葉を濁したいおちゃんに、にっこり頷くと、いおちゃんは少し頭を抱えた。
「あー、あぁ、そうね、そうだよね。」
急に納得したようないおちゃん。
覚悟を決めた様子で、苺花に向き直る。
「とりあえずおめでとう、幸せにね」
「うんっ、ありがとう!!」
絶対に、能天気な幸せオーラが出ている。
自分でも自覚しているけど、いおちゃんの呆れた表情からも分かって、苺花はヘラっと笑った。



