「あ、安達!!!!」
それまでの不安そうな顔は消えて、一瞬の驚いた顔の後に呼ばれた俺の名前。
ついつい俺は顔をしかめる。
なんで居るんだとか、怖いとか、言うんだろ。
そんな卑屈なことを思い、無意味に敵意を出して、早柿を見る。
すると早柿は俺に背を向けて、どこかへと走り去った。
…は?
呼ぶだけ呼んで、なんなんだよ。
あーあ、胸糞悪い、やっぱ来なきゃ良かった。
その他のクラスメイトからの視線も含めて小さく舌打ちをして、下から見えないように、少し下がってベンチに腰かけた。
「…はぁ、はぁ、安達!!」
そんな俺に声を掛けたのは、さっきどこかへと駆け出した早柿だった。
肩で息をしながら、近寄ってくる早柿に、俺は、怪訝な顔を向ける。
だけど、口から出た言葉は、予想にもしてない内容だった。



