確かあいつは、バスケに出るって言ってたよな。
そんなことを思いながら、静まり返った校舎の階段を下っていく。
目的地である体育館の2階に上がり、見下ろすようにしてあいつの姿を探した。
だけど、
どれだけ探しても、あいつの姿は見つからなかった。
俺らのクラスが集まるコートの真上に移動したものの、生あくび。
いねーのかよ。
やっぱ、来なきゃ良かった。
そんな気持ちが浮かぶ中、ぼんやりと眺めているうちに、クラスメイトの様子がおかしい事に気がついた。
「どうしよう…」
「やばいよ、もう始まっちゃう」
あたふたとする大勢の女子をまとめるように指示を飛ばすのは、いつもあいつと一緒にいる、美形の女子だった。
確か名前は、早柿。
「とりあえず、最初のメンバーは、これで行こう。並んで並んで。」
全員が焦ってそわそわしていた空気が、少し落ち着いて、指示通りに場はまとまる。
だけど、その場から少し外れた早柿は、焦ったような顔をして、周りを見渡した。
そして、体育館上を見上げて、俺と視線が交わる。



