「否、お前いつも理事長に負けてんじゃん。」

真顔でそう言ったナチ。なかなか喋らないナチの声はとてもレア。

いつも一緒にいるけど、なかなか聞けないからクラスとかだと本当に無口のポーカーフェイスだと思う。めちゃくちゃ。

「う、五月蝿いな!ほんわかしてる理事長がいけないんだよ!」

と、真っ赤な顔をしてナチに言い返している。それが何だか、見てるだけで楽しかった。

「じゃあ、行こうか。」

五月蝿い生徒会に、斗真の声が聞こえた。

「うん、」

皆、頷いて生徒会を後にした。



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ドン、と大きくそびえ立つ扉。それは、生徒会室とはあまり変わらないのに凄く大きく見えた。

「ついたよ。」

そう、優しく静かに言った斗真。

ここが、理事長がいる部屋…。今まで、迷路のような道を通ってきたから凄く疲れてしまった。

今まで、聞いてきた理事長の性格は、八尋に甘い人でふんわりしている人……か。なんか、女の人のイメージがあるんだけど……。

そう考えていると、コンコンコンっと斗真がドアをノックしていた。

「どうぞ。」

優しい声が聞こえた。あれ、この声聞いたことあるような……?

「失礼します。」

答えはでないまま、扉が開き皆が入っていく。皆についていくように私も入った。