“あんたの礼儀を押し付けないで”、か……。

それは、“自分の常識を押し付けないで”と言われているとすぐにわかった。

宇美ちゃんは、自由を求めてるのかな。何にも囚われない、自由さを。

「結愛ー、なんで先に行っちゃうんだよー!」

昨日、聞いた声が聞こえた。それは拗ねてるように聞こえる。

クルリと後ろを振り向く。そこには、無駄に顔が整った6人の男達がいた。

「瑠樹!」

拗ねたように言ったのは、瑠樹だった。

「結愛、これからは一緒に行こーぜ!」

「うん……あの、さ、宇美ちゃん達ってあの寮に住んでるの?」

そう聞くと、斗真は苦笑いした。

「ううん、違うよ。宇美ちゃんは一人暮らしだからいいって言って、千奈美ちゃんは、お家の人が駄目だって。」

「一人、暮らし……?」

高校生で一人暮らし。よっぽどのことがなければできないこと……。

「うん。だから、部活も入ってなくてバイト掛け持ちしてるみたい。このゲームならそういうのも寮に入るから大丈夫だよ、って言ったら、“これは私が決めたことなの、途中で放棄するのは私が許せない”って言ったよ。」

……宇美ちゃんは、意志が強い子なんだ。私と違って。凄く、凄く。

「そっか……。」

私は、ギュッと手を握り拳を作る。