俺は、心の中で溜め息をついた。

「わかった。

で?用件は?」

俺は、早く済ませたい気持ちが出て早口になってしまう。

「用件なんか無いわよ。

私達は、愛し合ってるのよ?彼女が彼氏に電話しちゃ駄目?」

あぁ、ウザい、五月蝿い。黙れ。

「…駄目じゃないよ。」

「そうよね!斗真、愛してるわ。」

耳障りな声、聞きたくない声。吐きそうになる。助けて。

「…あぁ、俺も愛してる…。」

小さな声で呟いた声は、嫌で聞きたくなくて。また破片がパラパラと落ちていく。

「ふふ、それだけ。浮気しないでね?

じゃあ、おやすみ。」

やっと、やっと解放される。

「うん、おやすみ。」

視界がぼやける。よく見えない。苦しい。

切れた電話は、ホーム画面に戻った。それを見つめる。画面にはパタパタと落ちる涙。

「ぅ、あ…」

小さく、小さく声が漏れる。

───本当は、失恋ゲームに参加しちゃいけない。わかってる。だけど、甘えているのは俺で。

助けて、ほしい。そう何度も願うんだ。

*斗真side end*