2人の成仏を見届けた後、安心しきったのか旭はその場に崩れるように倒れる。

それにすぐに気付いた柚太が慌ててそれを受け止めた。


「ちょ、お前……」

「安心感と今まで憑かれていた分の体力の消耗のせいだと思う。
結構我慢していたんだろう? 少しは休ませてやれ。
事情なら遠山が起きたらキチンと説明するから。逃げも隠れもしない」


柚太の腕の中で眠る旭はとても穏やかな顔をしている。

全てから解放されて安心しきっているのだろう。


「お疲れ様、旭君!」

「今日1日くらいサボったって大丈夫ですから……!」

「ボク、部屋に連れて行きます。湯浅君も手伝って?」

「了解です」


徐々にざわつき始める朝、寒河江兄妹は旅立って行った。

それは嬉しくもあり寂しくもあるが、兄妹にとっては幸せな忘れられない日となっただろう。