急に彼の顔が近づいてきたから、驚いた。
これってもしかして……キスなの?
私、今、キスされそうになっているの?
え……どうして⁉︎
驚きすぎて体が固まってしまい、動けない。
でも心臓はバクバクと忙しく働き、頭の中はいろんな疑問が溢れてパニックになっていた。
春町くんが、どうして私にキスするの?
私が……スキ?
ううん、これは違うと思う。
私よりも美緒ちゃんや由希奈ちゃんと話していることの方が多いし、他のクラスにも仲良しの女の子はたくさんいるみたい。
じゃあ、どうして?
わかんない……わかんないけど、心は嫌だと叫んでいた。
顔の距離が10センチまで近づく。
彼のつけている甘い香水の香りをはっきりと感じた時、びっくりして固まっているだけじゃダメなんだと、やっと気づいた。
慌てて叫ぶように言う。
「春町くん! やめっ……」
やめてと全てを言わない内に、シャッと勢いよくベット周囲のカーテンが開けられた。
怒った顔をして入ってきたのは保健の先生で、春町くんのTシャツの襟をつかんで私から引きはがした。
それから彼の腕を引っ張るようにして、お説教しながらドアの方へと連行していく。
「あんたは油断も隙もない男だね。
保健室でハレンチ行為は御法度だよ。
さぁ、出てった、出てった」
「え〜」


