胸がドキドキして、顔が赤くなっていくのがわかる。
春町くんの手が伸びてきて、私の頭を撫でてくれた。
「大丈夫そうでよかったよ。
すっごい心配しちゃった」
「あ、あの……ごめんね。
あれくらいで気絶するなんて、恥ずかしい……」
いくら強烈だったとしても、女の子が打ったスパイクだ。
それをもろに顔面で受け止めて、転んだ挙句に気絶するなんて、私の反射神経と運動神経が鈍いと証明したみたいで本当に恥ずかしい。
意識を失うまでの状況を思い返して、自分に呆れていたけれど、あれ?と気になることも一緒に思い出した。
遠のく意識の中で、誰かが私に駆け寄ってきたと思うんだけど……。
私の名前を呼び、保健室に連れて行くからと抱き上げてくれたような気もする。
よく覚えていないので、“ そんな気がする” という程度。
なんとなくだけどそれが男子生徒で、黒いサラサラの前髪と切れ長の二重の瞳を見た気がする。
気のせいかな? 違うかな?
本当は、先生が運んでくれたのかな?
あやふやな記憶に確信が持てずに、あれ?あれ?と考え込んでいると、
春町くんに「どうしたの?」と聞かれた。


