明日はきっと晴れるから




笑顔は見せてくれないけど、その女の子に不機嫌そうな様子もない。


私に本を取ってくれてから自分用の本も同じ棚から引き抜いて、表紙をこっちに向けてその子は言った。



「この本、もう読んだ?」


「ううん、まだ」


「その青い本は面白かったけど、こっちも面白いよ。
それを読み終わったら、これも読んでみてよ」



女の子の言葉に、私は喜んだ。

この子も私と同じで、本が大好きみたい。


私には仲良しの友達がいなかった。

学校で、中休みも昼休みも放課後も、ひとりで本ばかり読んでいるせいかもしれない。


そのことを最近少しだけ気にしていた。

お母さんに「今度友達を連れておいで。菜乃花の誕生日パーティーをしよう」と言われた時、

お家に呼べる友達がひとりも思い浮かばなかったから。


クラスメイトはもちろんいるけど、自信を持って私の友達だよって言えない。


これに気づいてから、友達が欲しくなった。


それならクラスの女の子と同じような遊びをすればいいのだろうけど、それも出来ない。


だって私は、本が読みたい。

本を読んでいる時間が一番楽しいから。