明日はきっと晴れるから




お礼を言おうと振り返って驚いた。


綺麗な顔をした女の子が、私を見下ろしていた。

私と同じ年頃に見える顔なのに、身長は頭二つ分も高い。


背の高さにびっくりして一瞬言葉をなくしてしまったけど、「なんだ、そっか」とすぐに納得した。


その子は台の上に立っていた。


そこからピョンと飛び下りると、目線がだいたい私と同じ高さになった。



「踏み台、あっちの棚の前にあったよ。
これ使えば、すぐに取れたのに」


「あ、そっか。踏み台使えば良かったんだ。
今度からそうするね。取ってくれて、ありがとう」



青い本を胸に抱きしめてニッコリ笑いかけてみたけど、その女の子は笑顔を返してはくれなかった。



初めて見る女の子。

私が通っている近所の小学校の児童ではないと思う。


隣の小学校かな?

それとも、お家は近いけど、小学校は遠いところにある受験が必要な私立かな?



身なりも顔も、とても綺麗な女の子だった。


両サイドを編み込みにしたサラサラの黒髪に、切れ長の二重の瞳と白く滑らかな肌。


レースの付いた水色のワンピースを着て、よそ行きみたいな青いツヤツヤした靴を履いている。


身長から多分同じくらいの歳だと思うけど、何だか大人っぽい雰囲気……。


服装のせいかな?

綺麗な顔のせい?

それとも、さっきからずっと真顔のままで、少しも笑顔を見せてくれないから、大人っぽく見えるのかな?