自動ドアから中に入り、ひんやりとクーラーのきいた廊下を進む。
突き当たりの階段を上ってすぐに見えたのは、アーチ型の木目のドア。
ドアの上には【ふくろう子供図書館】と書かれた札があり、可愛い親子ふくろうのイラストも貼ってあった。
今日はどんな本を読もうかな……。
ワクワクする冒険物もいいし、ちょっぴり悲しくて胸がぎゅっとなる本も好き。
はやる気持ちに動かされるままドアに駆け寄り、押し開けた。
初めに感じるのは、図書館の香り。
学校の図書室もそうだけど、本がたくさん置いてある場所は同じ匂いがする。
何の匂いかな……。
紙とインクと、お日様みたいないい香り……。
大好きな香りを感じながらトコトコと奥に向かって歩いていく。
小さな司書カウンターの中でいつものお姉さんがお仕事していて、私に気づくとニッコリ笑って手を振ってくれた。
私も手を振り返そうと片手を上げたけど、あっと思って手を振り返さずにペコリと頭を下げた。
この前、お父さんに言われたんだ。
もう幼稚園児じゃなく一年生なんだから、レイギサホウを覚えようなって。
レイギサホウって難しい言葉だけど、先生や大人の人にきちんとした言葉遣いをしたり、お辞儀することだと教えてもらった。


