「うっ……」
そのまま後ろにバッタリと倒れた私は、後頭部を床に打ち付けて火花を見た。
脳が揺すぶられたのを感じる。
視界も揺れて、意識が遠のいていきそうだった。
女子の誰かの悲鳴が聞こえて、その直後にズダンと大きな音が聞こえた。
すごく大きな音で、床から振動も伝わってきた。
何の音……?
まるで誰かが、2階から飛び降りたみたいな……。
視界が霞がかり、見えなくなろうとしていた。
意識がブラックアウトする少し前に、駆け寄る誰かの足音が聞こえて、
黒いサラサラした前髪と、切れ長の綺麗な二重の瞳が見えた気がした。
体がふわりと持ち上げられる。
「菜乃花、しっかりして。今保健室に連れて行くから。そこ、道開けて……」
周りのざわめきも、誰かの声も、聞こえなくなっていた。
抗いようもなく夢の中に引きずり込まれながら、私は残念に思っていた。
最後まで試合をしたかったのに……。
みんなと一緒に、頑張りたかったのに……。


