友達を悪く言われた気がして、私の中に怒りがこみ上げた。
お父さんが私を初めて叩いたように、私も生まれて初めて両親に楯突いた。
『ひどいこと言わないで!
みんなとっても優しいのに!
私が一人ぼっちにならないように、仲間に入れてくれたんだよ?
春町くん達は不良じゃない。何も知らないくせに、私の友達を悪く言わないでよ!』
昨夜の両親との喧嘩を思い出すと、悔しくて悲しかった。
電車を下りて、重たい気持ちで学校へ向けて歩いている。
今日はメイクも家でしてきたから、駅のトイレに入る必要がない。
あんな喧嘩をした後では、メイクをしての通学を隠す意味がないもの。
アスファルトの割れ目に咲くタンポポの花に向け、大きなため息を吐き出した。
本当は、お父さんとお母さんに悪いことしちゃったという、反省の気持ちも持っている。
驚かせて、怒らせて、悲しませてしまったのは心が痛いけど、私の気持ちもわかって欲しい。
春町くん達は大切な友達だから、同じようにしないといけないの。
だから私は間違っていない……はず……。


