すると島田くんに、こんな質問をされた。
「岸谷さん、自販機の飲み物の中で、何が好き?」
「え? ええと……フルーツ系ならなんでも好きだよ」
「ちょっと待ってて!」
ぽかんとしている私を残して、島田くんは教室を猛スピードで飛び出して行った。
そして、私が着席して鞄から教科書を取り出した所で、戻ってきた。
「はい、これ。
俺からのお詫びって言うか、こらからも宜しく的な感じで。飲んでよ」
机の上に置かれたのは、いちごオレの紙パック。
私がさっき弁償すると言って渡した代金で、走って買ってきてくれたみたい……。
「いいの?」
「もちろん!
俺が触った奴だから、性格悪いのが移るかもしんないけど」
島田くんのその言い方がおかしくて、プッと吹き出し声を上げて笑うと、彼も私以上に楽しそうに笑ってくれた。
それまでシーンと静かだった教室も、私達の笑い声をきっかけに賑やかさを取り戻す。


