明日はきっと晴れるから




学校から電車で4駅離れた繁華街の、前にも来たカラオケ店に入った。


慣れているみんなと違い、私は人生で2回目のカラオケだから曲選びに時間がかかってしまう。


「菜乃花、まだ決まんないの?」と、美緒ちゃんが呆れた顔をしている。



「ごめんね、えっと……」



焦ってしまうとますます決められず、困ってしまった。


すると隣に座る春町くんが、見かねたように助けてくれた。



「リクエストしてい? これ歌って欲しいな」



そう言って彼は、私の代わりにタッチパネルで入力してくれた。



ドキドキ……ドキドキ……。

鼓動が勝手に速度を上げていく。


春町くんはいつも優しい。


みんなと比べて明らかに声量不足で下手くそな私の歌声にも、

「可愛い声だね」

そう言って、彼はにっこり笑って褒めてくれた。




カラオケ店を出て、みんなで街をぶらぶらと歩いている。


空は夕焼け。駅に向かう仕事帰りの大人たちの姿が増えていた。



「でさー、しつこいからあいつからのLINE、ブロックしてやったんだー」


「キャハハ! ウケるー!」



お喋りに盛り上がる美緒ちゃんと由希奈ちゃんの隣を静かに歩いていると、商業ビルの1階に入っている大型書店が目に入った。