自分って、何だろう……。
菜乃花が与えてくれた疑問の答えはまだ見つけられないけど、考えるようになっていた。
考えないといけないんだと、思うようになっていた。
菜乃花と離れたくないのは、淋しいからだけじゃない。
彼女が側にいないと、その答えを見つけ出せない気がしていたから……。
3日後の引越しを告げた母親に、生まれて初めて反対してみた。
「お母さん、私は引っ越したくない。
もう少し、後にはできない?
せめて、あと10日くらい先に……」
私の髪を撫でている母の手がピタリと止まった。
肩を掴まれ、痛いほど強く揺すぶられた。
「さーや、どうしちゃったの?
お母さんに口答えなんて、さーやはそんな子じゃないでしょう?」
さーや、じゃないよ……真臣だよ……。
そう言いたいけど、言えなかった。
母が壊れてしまうから。
心の中で母の言葉に反論し、それからまた同じ疑問にぶち当たる。
さーやじゃない。
私は姉ではない。
それはわかるけど、じゃあ自分は何者なのか?
わからない。
自分って、何だろう……。
そんな簡単なことが見えずに、心の中でもがいていたーーーー。


