【子犬はお空の神様にお願いしました。「僕の背中に羽を付けて下さい」
すると、雲の上から神様が降りてきて……】
「菜乃花、ちょっと待って。
いきなり神様が出てくるのはおかしいよ」
「どうして?」
「子犬は可哀想だけどなんの努力もしていないのに、神様がでてきて願いを聞いてくれるなんて都合がよすぎない?
大体、この世に神様なんていないのに」
もっと小さい頃、神様がいたらいいのにと、考えたことはあった。
でも、いないんだと悟っただけに終わった。
神様が本当にいるなら……。
姉は3歳で命を落とさず、私は姉の代わりにされることもなく、今頃小学校に通えているんじゃないかな。
そんなことを考えてしまった。
これは童話だから神様が出てきてもいいんだけど、ついムキになって言ってしまった。
すると菜乃花はキョトンとした顔をしてから、首を傾げて言った。
「ゆきちゃんは神様がいないと思うの?
私はいると思うよ。サンタさんだっているんだから、神様もきっとどこかにいるよ」
「は? サンタさん?」
「サンタクロースだよ。ゆきちゃんの家にも、クリスマスに来るでしょ?
あのね、うちは団地だから煙突がないの。
どうやってサンタさんは入ってくるのかなぁって、毎年不思議に思っていたらね、ベランダから鍵を開けて入ってくるんだよ!」
「え……」
「本当だよ! 去年のクリスマスに証拠を見つけたの。朝起きたらプレゼントは枕元にあって、ベランダの鍵が開いていたの。
お父さんはちゃんと戸締りしたはずなのに、おかしいなぁって言ってたけど、ベランダにクリスマスツリーに付ける鈴が落ちていたから私、わかったの!
サンタさんは魔法で鍵を開けてベランダから入ってくるんだよ」


