菜乃花は「童話もいいね!」と言ってくれて、物語の始まりを彼女が最初に書き始めた。
【昔々あるところに、子犬がいました。
お父さん犬ともお母さん犬とも離れて、今はひとりぼっちです。】
この童話の主人公は子犬にするらしい。
菜乃花にペンを渡された。
「次はゆきちゃんの番だよ」と、笑顔で言われる。
何を書こう?
子犬がひとりぼっちになった事情を書けばいいのかな……。
【子犬がひとりぼっちになる前は、優しい飼い主のもとで、お父さん犬、お母さん犬、兄弟犬と一緒でした。
でもある日、その子犬だけお金持ちの家に連れて行かれました。
お金持ちの家には女の子がいて、その子の誕生日プレゼントとして子犬が贈られたのです。
でも女の子はちっとも喜びませんでした。
欲しかったのは白い犬。茶色い毛色の子犬じゃありません。
誕生日パーティーが終わった後、子犬は女の子によって河原に捨てられてしまいました。】


