私は人間にあまり興味がないから、“そう言えば ” という程度の記憶しかないが、
6人掛けのテーブルの端の椅子に座って、長時間熱心に本を読んでいたというのは覚えていた。
本を読むことを、日常生活の一部にしている女の子。
私と同じだ……。
それに、少しばかりの興味を抱いた。
彼女は本棚の間を行ったり来たりしながら、読みたい本を探していた。
私はその様子を、少し離れた場所から眺めている。
彼女が「あっ」と、小さな可愛らしい声を上げた。
どうやら、今日読むべき本を見つけたみたいだ。
嬉しそうに小さな手をその本に向けて伸ばすけど、届かない。
彼女が取りたい本は多分、本棚の上から2段目にある青い表紙の本。
背伸びをすると指がチョンと背表紙に触れるけど、引っ張り出すことは出来なそう。
本棚の前でピョンピョン飛び跳ねて取ろうとしている様子がおかしくて、クスリと笑ってしまった。
きっと彼女の頭の中は、あの青い本を読みたいという思いでいっぱいなのだろう。
隣の本棚の前に、踏み台が置いてあるのも気づかないほどに。


