明日はきっと晴れるから




学校に着くと、先に職員室に行って担任の猪熊先生から日誌を受け取った。


日直として決められている仕事以外に何か手伝える事はないかを尋ねると、

先生は「今のところないよ」と言ってから、眉を八の字に傾けて私に言った。



「宗多、最近は化粧をしているんだな。

わかっていると思うが、校則違反だぞ」


「あ……はい、ごめんなさい……」



メイクが校則違反なのはわかっていた。


規則を破っている事には心が苦しいけど、でも……。


私にとって今一番大切なのは春町くんのグループに早く馴染むことで、せっかく友達になってくれた美緒ちゃんや由希奈ちゃんの期待に応えることだった。



注意されたことで、しゅんと肩を落としてうつむいた。


「ごめんなさい」と謝ることはできても、「もうメイクはしてきません」とは、言えなかった。



先生はため息をひとつついただけで、それ以上の注意をしてこなかった。


「困っていることがあれば相談してくれよ。勉強のことも友達のこともな」


会話は優しい言葉でしめくくられ、私は日誌を持って職員室を後にした。