「結城くん、こっちだよね?」
「そうだよ」
心の中が、ワクワクしてくる。
それは懐かしい感覚。
小さな頃の私はワクワクどきどき、この道をスキップして歩いていた。
今日はどんな本に出逢えるかなと、思いながら……。
子供の頃の懐かしい感覚を思い出して、私の歩調が少し速まる。
最初は結城くんに手を引かれて歩いていたはずなのに、気づけば私が彼を引っ張るように一歩前を歩いていた。
そうだよ……この建物だよ……。
目の前には、二階建ての白く大きな建物。
外壁を塗り直したばかりなのか真っ白で、青空と街路樹の緑とのコントラストが綺麗。
【区民センター】と書かれたこの建物の2階に、私が大好きだった場所があり、そこでゆきちゃんと出会ったんだ……。
記憶が徐々に戻ってくるのを感じながら、入り口の自動扉の中へ足を踏み入れた。
中はクーラーが効いて、ひんやり心地よい。
この感覚も昔と同じ。
暑い外から入った時に、
『気持ちいいね〜』
小さな私は、そんな独り言を言っていた。


