終点で電車を下車し、その後バスを2本乗り継いだ。
そうして出発してからおよそ2時間後に、やっと目的地の街にたどり着く。
同じ県内であるけれど、ここは私達の住む街から一番離れた所にある中規模の市。
バスから降りてキョロキョロすると、何となく見覚えのある建物が幾つか目に入った。
でも、ハッキリとはわからない。
見たことあるような、ないような……その程度の感覚だった。
結城くんは私の手を握ったまま、迷わずに道を進む。
交通量の多い大きな通りを渡り、電器屋さんや飲食店の並ぶ道から、脇道に入る。
しばらく進んで右に曲がると、緑の木々に囲まれた集合住宅が何棟か建ち並んでいる場所に出た。
「あ……ここ……。
前に住んでた場所……」
4階建ての古びた集合住宅を見た瞬間、ここに住んでいたことはハッキリと思い出した。
記憶の中にあるものより古びているけれど、間違いない。
幼稚園から小学1年生の終わりまで、私はここで暮らしていた。
集合住宅の中には結構大きな児童公園があって、いつも賑やかだった。
団地に住んでいる同じ歳くらいの子供はいつもこの公園で集まって遊んでいたけど、私は……。
公園ではほとんど遊ばなかった。
私が大好きな遊び場は他にあって、いつもひとりでそこに通っていた。


