「君は君だよ。
名前が変わっても、俺の好きな女の子なんだよ。
小さな子供の頃、俺は自分が何者かわからなくて毎日が苦しかった。
そんな日々の続いていたある夏休み、君に出会った。
小さな君は俺に言ってくれたんだよ。
『ゆきちゃんは、ゆきちゃんだよ』って。
その言葉で俺は、自分を取り戻せた。
今の君はあの時の俺みたいに、自分を見失ってしまったのか……」
「え……?
結城くん、あの、ゆきちゃんって……」
ゆきちゃんのことは、少しだけなら覚えている。
遠い昔、ひと夏だけのお友達。
水色ワンピースで、長い黒髪の可愛い女の子。
結城くんがゆきちゃんなの?
え? どういうこと?
驚きと戸惑いの中、結城くんに腕を引っ張られて、立ち上がった。
「行こう。自分を取り戻しに。
思い出して欲しい。小さな頃の君は強かったよ。
これが自分だってものをしっかり持っていたし、自分らしく堂々と好きな世界で生きていて、眩しかった。
今から、あの頃の君を取り戻しに行こう」


