図書室にいた1年生女子は、私を見ただけで驚いて、本棚の陰に逃げていった。
『菜乃花は殺人犯の娘だよね。ちょー無理』
由希奈ちゃんは笑顔でそう言った。
私はもう、今までの私じゃない。
どんな私なのかということは、みんなが教えてくれた。
黒くて、汚くて、迷惑な……そんな存在が今の私。
考えれば考えるほど、その結論が重みを増して心にのしかかってくる。
眠れない夜に、ドロドロした底なし沼に心を沈めた。
そうして一晩かけて私はすっかり今までの自分を見失い、新しい自分像を作り上げた。
醜い自分。
汚い自分。
人の害にしかならない自分。
こんな私は大嫌い。
早く壊れてくれないかな……。
気がつくとカーテンの向こう側が、明るくなっていた。
お母さんの部屋から小さくドア越しに、めざまし時計のアラーム音が聞こえて、すぐに止まった。


