その夜ーー。
夕食は食べたくないけど、作り笑顔で無理やり胃袋に詰め込み、こっそりトイレで吐き戻した。
お母さんには何も言えない。
ただでさえ迷惑にかけているのに、これ以上の心配も面倒もかけるわけにいかない。
夕食後、お風呂に入って上がったら、「結城くんから電話があったよ」と、お母さんに言われた。
結城くんの声が聞きたい……。
そう思ったけど、掛け直すことはしなかった。
結城くんは優しいから、こんな私でも見捨てずに側にいてくれたけど、これ以上頼ったらいけないよね。
また私のことをを好きになってくれるかな……なんて、調子のいいこと考えていた自分がとても醜い。
結城くんが好きだった私は、もうどこにもいない。
消えてなくなってしまったのだから、側にいて欲しいと思うことは彼にとって迷惑なんだよ。
自分の部屋にこもった私は、電気も付けずにベッドの上に座っていた。
膝を抱え小さく丸まって、ただ重たい闇を見つめていた。
すると、私の心も黒くてドロドロした闇に飲まれてしまう。
今日一日の出来事を、淀んだ心の中で思い返していた。
『次のページを宗多。
宗多……じゃないんだな』
現国の先生がそう言った。
お昼休み、私に話し掛けられるんじゃないかと勘違いして、クラスの女子は怯えていた。
私が拾ったコーヒー牛乳は、『不幸が移る』と言われて、一口も飲むことなく捨てられてしまった。


