この学校で結城くんと初めて会話したのは中庭で、『君が好きだった』と打ち明けられた。
あの時の私は春町くん達のグループの中で、茶髪にメイクをして、放課後は繁華街で遊んでいた。
そんなのは私らしくなくて好きじゃないけど、そうなる前の私のことが好きだったと、結城くんは過去形で告白してくれた。
それがずっと、頭に残ってる。
茶髪をやめて元の私に戻った時、また私のことを好きになってくれたらいいなぁって……、
口には出せないけど、ちょっとだけ期待を持ってしまった。
私は結城くんに惹かれている……。
いつも私を助けて支えて、正しい方向へ導いてくれる結城くんに、温かくて優しい胸のドキドキを感じている……。
だからそんな期待をしてしまうのかもしれない。
また私のことを、好きになってくれないかなって……。
でも、もうダメなんだよ。
今の私は茶髪にしていた時よりも、もっと過去の私から離れている。
どんなに戻りたくても、二度と以前の自分には戻れないの。
“ 宗多菜乃花” は、もうどこにもいない。
私は岸谷菜乃花で、結城くんが好きになってくれた元の私は、消えてしまったの……。


