でも今、先生に指名されて教科書を読んでいるのに、心は文章の中に入っていかない。
私は岸谷菜乃花。
もう、宗多じゃないんだよね……。
すごく変な感じ。
まるで今までの自分が、消えてなくなっちゃったみたい。
じゃあ、今の私は一体何だろうと思うけど、自分のことなのによくわからない……。
現国の授業が終わると、お昼休み。
4時間目終了のチャイムが鳴ると、いつもほっとした。
お昼は結城くんとふたりで、図書準備室で過ごせるから。
クラスメイト達は私の方を見てヒソヒソ話したり、避けるような仕草をしたり、明らかに夏休み前と違うけど、
結城くんだけは変わらないでいてくれる。
以前と同じように話しかけてくれるし、側にいてくれる。
周囲の視線が痛くて心を閉ざしてしまいたくなる時には、さりげなく本を読むように誘導してくれたりもする。
私がなんとか心を保って通学していられるのは、間違いなく結城くんのおかげなの……。


