「結城くん……」
「朝早くにゴメン。
電話も繋がらないし、日中に来ても宗多さんに会えないと思ったから」
その言葉でビクッと肩を揺らし、周囲をキョロキョロと確認してしまう。
早朝の道路には私達以外の人の姿は見えないけど、このままここにいたら、マスコミの人に見つかってしまいそうで怖かった。
怯える私を見て結城くんは、「乗って」と言う。
「えっ?」
「移動しよう。
その方が、落ち着いて話せるだろ?
後ろに乗って」
「う、うん」
自転車二人乗りなんて初体験だから、すごくドキドキする。
紺色自転車の荷台に横座りすると、結城くんが漕ぎ出した。
「わっ!」
予想より速いスピードに驚いて、思わず結城くんの水色のシャツの背中にしがみついてしまった。
腕を回してギュッとしがみついてから、ハッとする。
自分が随分と大胆なことをしていると気がついて、腕を離さなくちゃと焦っていた。
すると結城くんが、前方を向いたまま私に言う。
「そのままでいいよ。しっかり掴まっていて。
振り落とす心配がなければ、もう少し速度を上げることもできるから」


