当然のことながらメイクしただけで、私の中身は何も変わっていない。
注目されるのは苦手だし、はっきりと自分の意見を言えないし、静かに地味に学校生活を送る方が落ち着くし……。
「あ、あの、佐々川さん。私は……」
オドオドしながらなんとかそのことを伝えようとしたけれど、彼女たちに言葉を遮られてしまった。
「美緒だよ。名字はかわいくないから名前で呼んで。
菜乃花は今日からうちらの仲間ね」
「あたしは由希奈!
菜乃花、その可愛さキープしてね。ダサ子は嫌だよ。私ね、可愛いものが大好き!」
ど、どうしよう……。
いつもひっそりと誰かが声をかけてくれるのをひたすら待っていた私。
私なんかにそんなふうに言ってもらえるのはありがたいし、嬉しいと思う。
でも……。
いくらメイクしても彼女たちと私は全然違うタイプだから、付いていける自信がなくて不安がいっぱい。
女の子ふたりに構われている私を見て、春町君がにっこり笑って言った。
「これで一人ぼっちじゃなくなるよ?
菜乃花ちゃん、よかったね。
おい、裕也(ユウヤ)、お前はまだゲームしてんのか。
ちょっと隣を見てみ?」
『裕也』と呼ばれたのは、私の隣に立ち、ずっとスマホをいじっている紺野くん。
彼は「ん?」と初めて視線を私に流して、
「うわっ! 誰⁉︎」と驚きの声を上げた。
「な? 可愛くなっただろ?
これから菜乃花ちゃんも俺らのメンバーね」
「へぇ、女ってメイクで変わるな。
俺は別にいいよ。
あっ! くそ、やられたー。もっと攻撃力の高い武器じゃないとダメか……」
「裕也〜。お前はゲームのアイテム、どんだけ買ってんだよ。
ほどほどにしないと、また親にスマホ没収されるぞ?」


