どうしようかと迷ってから、思い切ってお母さんに聞いてみた。
小さい頃のある夏に、どこかの図書館に通っていた記憶がある。
そこで可愛い女の子とお友達になった気がするんだけど、お母さん覚えてない?って。
お母さんはキュウリの浅漬けをパリパリ食べながら考えてくれて、それから「そんなこともあったわね」と覚えていることを教えてくれた。
それは、私が小学校一年生の時のこと。
当時住んでいた警察官舎からほど近い場所に、区民センターがあったそうだ。
そこの2階に子供図書館があって、私は放課後も夏休みもびっしり通っていたらしい。
説明されると、おぼろげだった記憶の中の図書館が、少しだけ形を成したように感じた。
そうだ……あの図書館は白い建物の2階にあって、階段を上って図書館の入り口が見えると、すごくワクワクしたんだ……。
水色ワンピースの女の子については、お母さんはこう言った。
「お母さん、その女の子と会ったことがないからわからないわ。
でもね、菜乃花が『私にもお友達ができたよ』って、嬉しそうだったのは覚えてる。
確か……ゆきちゃん。菜乃花はそう呼んでいた気がするけど、うーん……。
ごめんね。お母さんにはこれ以上わからないわ。その子がどうしたの?」
「あ、ううん。なんでもないの。
ただ昔のことを急に思い出して、気になっただけ」


