パイプイスの一つに座って私を待っていてくれたのは、結城くん。
「今日は俺の方が早かったね」
彼はそう言って、ほんの少しだけ瞳を細めて、微かに口角を上げる。
相変わらず感情をはっきり顔に出さない彼だけど、私がここに来ることを好意的に思ってくれているのは伝わってきた。
ドキドキ……ドキドキ……。
結城くんに対して感じる胸の高鳴りは、前に春町くんに優しくされたと勘違いして喜んでいた時とは全く別物。
もっと穏やかで、優しくて……。
これから何か素敵な物語が始まるんじゃないかと期待してしまうような、ドキドキなの……。
結城くんの隣に座って、お弁当の包みを開いた。
隣で結城くんも自分のお弁当箱を開けている。
手作り弁当である点は同じだけど、お母さんに作ってもらっている私と違い、結城くんは自分で作ってきている。
それを教えてくれた数日前、両親とではなく、祖父母と3人暮らしであることも話してくれた。
年を取り足腰が弱ってきたお祖母さんに負担をかけたくないから、できることは自分でやるようにしていると、結城くんは言っていた。
偉いよね……。
親に甘えっぱなしの自分が恥ずかしい。
私も見習って、お弁当を自分で作ってみようかな。
毎日は、難しいと思うけど……。


