混乱しながら「見ちゃってごめんね……」と小さな声で謝ると、美緒ちゃんに「は?」と言われた。
他の3人も、「何言ってんの?」と言いたげな顔を私に向けている。
春町くんが奥から歩いてきて私の正面で立ち止まり、いつもの笑顔を浮かべて言った。
「あ〜そっか。
菜乃花ちゃんはもしかして、俺と美緒が付き合ってると思ったの?」
「うん……」
「違うよ。美緒も由希奈も、ただのキス友。
そんなに驚かないでよ。こっちまでびっくりするじゃん」
付き合っていなくて、ただのキス友……。
え? キス友って……何?
ますます訳がわからない私に、美緒ちゃんが水飲み場の奥の壁にもたれたまま、補足してくれた。
「菜乃花はキス友の意味がわからないんじゃない?
あのね、そのままの意味だよ。キスだけ楽しむ友達。それ以上はしないし、カレカノでもないよ。
楽人の彼女とか、マジないから。
浮気の心配で、頭が変になる」
「うわ、美緒ひでー。浮気者みたいに言わないでよ。
俺はね、女の子を平等に愛そうと思っているだけ。
みんな可愛いし、みんな大事にしてるんだよ」
「キャハハ! 楽人は一生、彼女作んない方がいーよね。
彼女になった子、超かわいそー」


