彼が何をしたいのか理解できず、私は困るだけ。
女子ふたりは「楽人ー、やめときなよ」「マジ無理だから」
そんな言葉で春町くんを止めようとしている。
私の隣に立つ紺野くんだけは、自分のピアスを触りながらずっとスマホ画面を見ていて、無関心を続けていた。
春町くんが佐々川さんに言う。
「美緒、メイク道具貸して?」
「えー。やだー」
「いいじゃん。美緒って、超かわいい!めっちゃ美人!
貸してくれたら俺、美緒のこともっと好きになるけどなー」
「もう……仕方ないなぁ」
渋々といった顔で、佐々川さんは自分の鞄からピンクのエナメルのポーチを出して春町君に渡した。
「さんきゅ〜」
春町くんはポーチから色々なメイク道具を出して、私が座らされている机の端に置いている。
「あの、何を……」
「菜乃花ちゃん、目を閉じて?
喋らないでじっとしていてね」
顔に彼の手が伸びてきて、反射的にぎゅっと目をつぶった。
もしかして私……メイクされてるの⁉︎
まぶたにも彼の指先が触れるので目を開けられないけど、顔にいろんなものが塗られている感触があった。


