由希奈ちゃんは昨日、新しい夏用ファンデーションを買ったみたいで、嬉しそうにはしゃいでいる。
真新しいそのファンデーションでメイク直しをしている由希奈ちゃんが、「え〜? 何コレ〜」と不満そうな声を出した。
「薬局で試した時は、もっと明るい色だったのにー。
あーもー騙されたー。お試し用のヤツ、絶対ニセモノだ。これじゃないヤツ置いてあったんだよ。
ねぇ美緒、放課後文句言いに行くから付き合って?」
「やだよ。騙されたんじゃなくて、由希奈が別のファンデと間違えて試したんだよ、きっと。
クレームつけても、そんなことねーよ、バカかって言われて終わるだけだからやめときな」
「えー、何ソレ、ムカつくー。
あっ! そうだ!」
由希奈ちゃんは何かをひらめいたようにパンと手を叩いてから、私の方に体を向けた。
「菜乃花って、あたしより肌の色が暗いから、このファンデがちょうどいいと思うんだ。
あたしはもうちょっと明るい色じゃないと合わないの。
だから菜乃花にコレ、あげるね。それであたしは、別のファンデ買い直す!」
由希奈ちゃんに「はい」と手渡されて、「ありがとう」と受け取った。
すると由希奈ちゃんがニッコリ笑って、私に向け片手を出す。


